市立青梅総合医療センター

がん診療

がんの手術
  • 外科的切除手術は、白血病やリンパ腫などの血液がんを除く固形がんの根治的治療において、中心的な役割を果たしています。当院の手術療法については、各診療科のページをご覧ください。

    ロボット手術

    当医療センターでは、手術支援ロボットによる「ダヴィンチ(da Vinci)」手術を開始します

    手術支援ロボット「ダヴィンチ」。ロボットによる外科手術がおこなわれるという話を一度は耳にされたことがあるかもしれません。「万能の天才」と称されるレオナルド・ダ・ヴィンチ。その名にちなんだ医療用ロボット「ダヴィンチ」は米国インテュイティブ・サージカル社が開発し、1999年にヨーロッパで運用が始まりました。2023年になり、世界で約7500台、日本では約570台が活用されています。そのメリットの大きさから、多くの施設で意欲的に導入が進められ、さらには国産ロボットの製造・拡販が急ピッチで進められています。手術支援ロボットといっても、実際にロボットが自分の力のみで手術をするわけではありません。医師がロボットの腕(アーム)を遠隔操作しておこなう手術で、これまでの手術(腹腔鏡・胸腔鏡手術あるいは開腹・開胸手術)に比べ「より細かく正確で、身体への負担も少ない」という大きなメリットがあります。今後、当ホームページにて、手術支援ロボット「ダヴィンチ」の詳細、当医療センターでの手術の様子をご紹介させていただく予定です。

    導入時には、以下の疾患を対象としたダヴィンチ手術を開始します

    前立腺がん(泌尿器科)

    • 前立腺は男性の生殖器官の一部で、膀胱の下・直腸の前にあるくるみほどの大きさの臓器です。前立腺がんは男性では最も多いがんで、年齢により手術が第一選択の治療方法となります。ダヴィンチを用いた手術(特に前立腺全摘術)の場合、従来の開腹手術や腹腔鏡手術に比べ、手術出血量の抑制や入院期間の短縮のほか、困難とされていた尿道と膀胱の吻合(縫ってつなぎ合わせること)が正確に行えること、排尿機能のより早い回復や神経および直腸損傷の低減などのメリットがあります。


    直腸がん(消化器・一般外科)

    • 直腸は、排便に関わる腸管です。直腸を過ぎると最終出口の肛門です。すなわち、直腸はお腹からみると非常に狭く奥深い骨盤内に存在し、直腸がん手術は、視野が狭く手術操作のしづらい空間での手術になります。ここにダヴィンチの多関節機能(人間技をはるかに凌駕する器用さ)などのメリットを最大限活かせば、現在おこなっている腹腔鏡手術以上に正確で繊細な手術が可能となります。これにより根治性の高さ、肛門・排尿・性機能などの機能温存や早期の回復が期待できます。


    婦人科領域良性疾患(産婦人科)

    • 子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症などの良性疾患に対する子宮全摘術をダヴィンチ手術でおこなう予定です。上記の直腸がん手術に対するメリットとも重なりますが、安定した拡大視野と緻密な操作が可能となり、手術出血量の軽減が期待できます。また、従来の腹腔鏡手術では、視野の妨げとなり難渋した大きなサイズの子宮に対しても、ダヴィンチにより良好な視野下での手術が可能となります。


    新病院オープン時には上記手術のみを開始しますが、今後、順次対象疾患を広げ、(保険で認められている)様々な疾患に対してダヴィンチ手術をおこなっていく予定です。その都度、当ホームページにてご案内させていただきます。


    鏡視下手術

    鏡視下手術は、腹壁あるいは胸壁にポートを留置し、腹腔内あるいは胸腔内に腹腔鏡や胸腔鏡を挿入、テレビモニターを見ながら、鉗子、電気メスなどを用いて病変部を切除する手術方法です。手術する位置により、胃や肝臓、腸など腹部で行うものを腹腔鏡手術、食道や肺など胸部で行うものを胸腔鏡手術と呼びます。

    胸腔鏡下

    肺がんの手術~VATSとは~

    おなかのカメラを用いた腹腔鏡手術はラパロ(laparoscopyの略)と呼ばれますが、胸のカメラを用いた胸腔鏡手術はVATS(バッツVideoAssisted Thoracic Surgeryの略)と呼びます。呼吸器外科では肺や縦隔にできた病気に対する治療を行っており、2020年春から当医療センターでのVATSの適応疾患をひろげました。今回は肺がんの手術治療についてご紹介します。

    肺がんについて

    肺がん=ヘビースモーカーの病気と思われがちですが、最近ではタバコを吸わない人にも肺がんが増えています。過去10年日本人のがん死亡率第一位を肺がんが占拠しています。タバコを吸う人も吸わない人も、年一度は検診でレントゲン検査をお勧めします。

    肺がんの治療

    肺がんに対する治療の基本は「手術できる肺がんは切除をして、更に必要なら薬物治療や放射線治療を行う」です。近年重粒子線などの治療法も出てきていますが、まだ十分なデータと結果が出ていません。肺がんに対する手術は「どれだけ肺を取るか」「どうやって肺を取るか」がポイントです。

    「どれだけ肺を取るか」

    肺がんの標準的な治療は肺葉切除といって、がんが存在する肺葉を切除し、周囲のリンパ節を郭清します。非常に早期段階の肺がん(非浸潤癌)と考えられる場合は、縮小切除(区域・楔状切除)を選択することもあります。当医療センターでも早期の肺がんや呼吸機能が低い場合には縮小切除を選択しています。

    「どうやって肺を取るか」

    以前は開胸手術が標準術式で、術者と助手がじかに胸の中を見て触って手術をしていました。少なくとも術者の片手がすっぽり胸の中に入る必要があるので、創(きず)は15cm前後で、場合によっては肋骨を折って手術をしました。今でも進行した肺がんなどはこのような開胸手術が選択されます。

    ここ20年くらいで器具の進歩と呼吸器外科医たちの努力により、VATSが肺がんの標準治療となってきました。VATSは術者も助手もカメラで映し出された胸の中の映像を見ながら、棒状の道具を使って手術をします。道具が出し入れできる大きさの創で済むので、4cm程度の創が1箇所、1.5cm程度の創が2箇所で、肋骨を折ることなく手術ができます。創が小さいので痛みや体への負担が減少します。VATSでも「どれだけ肺を取るか」は開胸手術と変わらず、術後の再発などの治療成績もほぼ同等と考えられています。

    今後10年はロボット手術の発展が見込まれます。肺がんに対するロボット手術も始まっていますが、VATSを超える利点を見出すには、まだまだ我々呼吸器外科医の努力が必要

    腹腔鏡下

    腹腔鏡下手術は、お腹に数か所の小さな穴をあけ、炭酸ガスを入れてスペースを作り、そこからスコープや鉗子を入れて手術を行う方法です。開腹術と比較して、手術の創部が小さく美容的で、術後の痛みが軽度で入院期間が短いため術後早期に日常生活へ復帰することができます。当院で腹腔鏡下手術を行っているのは以下の診療科です。

内視鏡診療

  • 治療・検査

    消化器内科 消化管腫瘍に対する内視鏡治療
    ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

    早期消化管腫瘍(胃、大腸など)について精密検査(拡大内視鏡、画像強調内視鏡等)を行い、ESDにより内視鏡的に切除を行えるようになりました。これによりEMRでの切除が不能であった癌や腫瘍を手術を行わず臓器温存可能なケースが増えてきました。従来のEMRと比較し高度な技術を要しますが、精密検査から内視鏡治療まで一貫した治療の提供に鋭意努力しております。

    治療の目的と方法
    胆石・総胆管結石

    早期胃癌の中で、粘膜内癌(粘膜の内側に限局していると考えられる癌)や癌に変化していく可能性のある腺腫を内視鏡的に切除します。

    ①まずポリープ・癌の粘膜の下に液体を注入して病巣を持ち上げます。

    ②持ち上がった病巣の周りを電気メスで切開した後、剥離していきます。

    ③または、もち上がった病巣に針金の輪をかけて少しずつこの輪を縮め、ある程度縮めたところで、この針金の輪に電気をかけて粘膜を熱で焼いて切断します。

    ④切除した後の粘膜には必ず潰瘍(粘膜の一部が欠損し粘膜の薄くなった部分)が生じます。

    胆石・総胆管結石の説明
    消化器がん化学療法

    当医療センターでは2011年4月に患者さんが自宅から通院しながら抗がん剤治療を受けられる【外来治療センター】が開設されており、当科はがん薬物療法認定看護師やがん化学療法看護認定看護師からなるチーム医療の一員として、消化器がん化学療法に積極的に取り組んでいます。

    消化器疾患においては、病期の進行したがん患者さんに対するがん薬物療法の治療成績は厳しいものでありました。近年、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤の開発により治療成績は大きく変化しており、多くの方で以前と比較し長期の生存が期待できるようになってきております。

    消化器がんに対するがん薬物療法は日々進化しており、消化器がんで用いられる抗がん剤は多岐にわたります。当科では各疾患ガイドラインに基づき、院内で登録された治療レジメンにより、患者さんが安心かつ安全に治療が行えるよう関わってまいります。

    当科で薬物治療を行っている疾患

    食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、胆道がん、膵がん、膵内分泌がんに対して従来からの抗がん剤に加え、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤を組み合わせ、適正に治療を行っています。

化学療法

  • 外来治療センター・患者家族交流室(本館2階)

    がん治療は、手術治療、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線治療の3つが大きな柱となっています。
    手術治療や放射線治療が、がんに対して局所的な治療法に対し、がんの薬物療法は、細胞の増殖を防ぐ抗がん剤を用いた治療法で、より広い範囲の治療の効果があります。
    近年、抗がん剤の進歩や副作用の緩和等がすすんだため、入院しないで外来で化学療法を行うことが多くなってきました。
    当医療センターでは、患者さんが自宅からの通院し、普段の生活リズムを維持しながら治療を行うことができる外来による抗がん剤治療をより安全、快適に行うため、外来治療センターを開設し、医師、看護師、薬剤師が協力しながら、治療を行っています。
    患者家族交流室は、外来治療センターに併設され、がん治療などに関する図書やリーフレット等を置いてあります。

    当院でがん化学療法を受けられている患者さんへ

    当院で実施される化学療法の治療内容は、化学療法に携わる診療科の代表医師、看護師、薬剤師などの多職種で定期的に協議し決定しております。
    当院で化学療法を実施した患者さんからの化学療法に関する緊急の相談等には次のような体制で24時間対応しています。また、急変時などの緊急時に患者さんが入院できる体制を確保しています。

    連絡先:0428-22-3191(代表) *平日の日中は診療科外来、夜間・休日は救急外来で対応します。
    *病院へ連絡する際に準備するもの:診察券・次回の予約票・お薬手帳
    【次のような症状に気がついたら、病院へ連絡してください】
    • 発熱38℃以上ある
    • 吐き気や嘔吐が続き水分摂取も出来ない
    • 口内炎症状で食事や水分がとれない
    • 下痢が続き通常の排便回数が5回以上増加した
    • 倦怠感が強く通常の生活を送ることが難しい
    • 点滴していた部位の発赤、血管の腫脹・疼痛、水ぶくれが出現している
    • インフューザーポンプが減らない、バルーンの破裂、逆血している
    *電話連絡の際には『氏名・診察券番号・化学療法中であること』を伝えてください。

    治療中の注意点

    化学療法の点滴を受けられる患者さんへ
    (ダウンロードできます)

    化学療法の点滴を受けられる患者さんへ

    内服薬での化学療法を受けられる患者さんへ
    (ダウンロードできます)

    内服薬での化学療法を受けられる患者さんへ

    がん化学療法レジメン

    (1)ご利用にあたっての注意事項

    ①このレジメン集は、当医療センターのがん化学療法検討委員会で承認された汎用性の高いレジメンを掲載しています。
    適宜レジメン集の更新を行いますが、未掲載のレジメンが投与される場合があります。

    ②当医療センターでがん化学療法を受ける患者さんに対し、保険調剤薬局の薬剤師が服薬指導等で利用するために公開するものであり、一般の方への情報提供ではありません。
    なお、内容・投与量・投与スケジュール等は患者さんの状態により変更される場合があります。

    ③掲載中のレジメンの利用により生じたあらゆる損害について、一切責任は負わないものとしますので、予めご了承ください。また掲載内容は予告なしに変更・削除する場合があります。

    ④掲載されている情報の著作権は、市立青梅総合医療センターに帰属します。当医療センターの許可なく無断使用及び二次利用をすることを固くお断りします。

    (2)レジメン集

    分類 癌腫 レジメン 更新日
    1.呼吸器 PDFマーク 2024/5/30
    2.消化器系 食道癌 PDFマーク 2024/5/30
    胃癌 PDFマーク 2024/5/30
    胃癌(適用外)※ PDFマーク 2024/5/30
    ※詳細は、 別頁参照
    肝・胆・膵癌 PDFマーク 2024/5/30
    大腸癌 PDFマーク 2024/5/30
    3.乳癌 PDFマーク 2024/5/30
    4.血液 急性白血病 PDFマーク 2024/5/30
    慢性白血病 PDFマーク 2024/5/30
    悪性リンパ腫 PDFマーク 2024/5/30
    多発性骨髄腫 PDFマーク 2024/5/30
    その他 PDFマーク 2024/5/30
    5.婦人科 PDFマーク 2024/5/30
    6.泌尿器 PDFマーク 2024/5/30
    7.頭頚部 PDFマーク 2024/5/30
    8.脳腫瘍 PDFマーク 2024/5/30
    9.その他 PDFマーク 2024/5/30

    問い合わせ:市立青梅総合医療センター 薬剤部DI室 0428-22-3191(代表)平日9:00~17:00

    トレーシングレポート(外来化学療法)

    (1)目的

    当医療センターでは、患者様に外来化学療法を有効かつ安全に受けていただくために、トレーシングレポートを活用し、地域の医療機関と連携(情報共有)を行います。トレーシングレポートの内容は、病院スタッフで情報共有し、次回の診療に活用させていただきます。


    (2)運用方法

    緊急を要さない 情報であるが、医師へ情報提供した方が望ましい」と判断された内容について、所定の書式「市立青梅総合医療センター トレーシングレポート(外来化学療法)」にご記入の上、FAX送信をお願いいたします。

    ■送付先:市立青梅総合医療センター 薬剤部FAX:0428-21-7877


    ■トレーシングレポート(外来化学療法)  PDF版  PDFマーク   Word版  Wordマーク

    有害事象共通用語標準(CTCAE)については、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)に掲載されていますのでご参照ください。

    緊急性のある場合疑義照会 については直接、医師へご連絡をお願いいたします。


    (3)問い合わせ先

    市立青梅総合医療センター 薬剤部DI室
    TEL:0428-22-3191(代表) 平日9:00-17:00

放射線治療

  • 治療・検査|放射線科で行う治療(放射線治療)

    放射線治療とは

    放射線治療(放射線療法)とは、放射線のエネルギーを利用してがん細胞を死滅させ、腫瘍を消失・縮小させる治療です。手術や化学療法(抗がん剤)と並んで、がん治療ではよく行われる治療方法です。また、がんの治療だけでなくケロイド(良性腫瘍)の治療にも用いられます。

    手術をして身体の形や機能が損なわれるような場合でも、放射線治療では体を傷つけずにがんを治療することが可能です。体への負担が手術に比べ少ないので、御高齢の方や合併症があって手術が受けられない方でも治療できることがあります。

    当医療センターでは、下に示す「外部放射線治療」を行っております。

    外部放射線治療

    体の外側から放射線を照射する治療を言います。
    放射線の照射する範囲を細かく設定することが出来るので、正常な臓器にはなるべくダメージを与えずに治療を行います。

    よくあるQ&A

    Q.放射線治療をすると髪の毛が抜けるのですか?

    A.放射線は当たったところに影響が出ますので治療範囲に毛根が含まれている場合は脱毛が起こりますが、治療範囲外の毛髪が抜けることはありません。

    Q.放射線治療しているときに熱さや痛みなど感じますか?

    A.放射線治療で主に用いる放射線は胸部X線写真やCTで使用しているX線と同じなので、熱さや痛みを感じることはありません。

    Q.放射線治療は1回どれくらいの時間が掛かりますか?

    A.治療初日に限り30分程時間を要しますが、翌日からは着替えや位置合わせを含めて概ね15分程です。

    Q.通院でも治療ができますか?

    A.基本的に通院での治療ですが、抗がん剤治療など併用して行なうこともあり、入院/退院については担当科の主治医と相談が必要です。

    Q.どのくらいの金額が掛かりますか?

    A.放射線治療にかかる費用(手技料)は簡単な手法ほど安く、高度なほど高くなります。

    例) 乳房温存術後通常放射線治療(25回治療)
    約237,000円~490,000円(10割負担時)

    その他

    当医療センターでの治療内容に関するお問い合わせは下記にお願い致します。

    市立青梅総合医療センター放射線治療受付 0428-22-3191 内線25583

    ― 当医療センターで放射線治療を依頼予定する、他院の患者さんおよび先生へのお願い ―

    当院では他院の放射線治療の予約は「地域医療連携室」で承っております。

    ご予約は下記にお願いいたします。ただし、外来通院可能な方に限ります。

    市立青梅総合医療センター地域医療連携室 0428-22-3191 内線11922

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