市立青梅総合医療センター

呼吸器内科

診療科のご紹介

当科の扱う疾患は、肺がんなどの腫瘍、肺炎・結核・非結核性抗酸菌症・膿胸を始めとする呼吸器感染症、気管支喘息・過敏性肺炎・間質性肺炎等のアレルギー免疫疾患、肺気腫などによる慢性閉塞性肺疾患、睡眠時無呼吸症候群など広範囲に渡ります。いずれの疾患に対しましても、医学の進歩に即応した高いレベルの医療を施すよう常に努力しています。

咳、痰や呼吸困難等の症状があったり、呼吸器の検査で異常を指摘された等でご心配な方はぜひ当科を受診して下さい。紹介受診を基本としていますので、かかりつけ医や今までかかっている病院の紹介状をご持参下さい。

診療実績(のべ入院患者数)

2022年 2023年 2024年
腫瘍(肺がんなど) 379 381 461
呼吸器感染症 138 212 253
間質性肺炎 101 108 52
気胸 41 47 46
睡眠時無呼吸症候群 22 35 43
慢性閉塞性肺疾患 19 28 27
気管支喘息 14 19 64
その他 50 68 46

腫瘍(肺がんなど)

肺がん、悪性胸膜中皮腫、縦隔腫瘍などの診断と治療を行っています。呼吸器外科、放射線科、病理部と定期的に合同カンファレンスを行って診断や治療法について検討しています。痛みや呼吸困難などのがんによる症状に対しては、緩和ケア科と連携して対応しています。専門性の異なる科がチームを組んで、質の高い医療を提供できるようにしています。

肺がんの治療は大きく分けて、①手術、②放射線治療、③薬物療法(抗がん剤治療)の3つがあり、これらを単独または組み合わせて治療を行います。この20年で肺がんの薬物療法は大きく進歩しました。昔からある細胞障害性抗がん剤に加えて、特定の遺伝子変異を標的とした分子標的治療薬、がんを兵糧攻めにする血管新生阻害薬、がん免疫に作用する免疫チェックポイント阻害薬が臨床導入されています。これに伴って、がん細胞の遺伝子異常を調べる検査が重要となってきました。当院では遺伝子パネル検査という方法で複数の遺伝子異常を同時に調べるようにしています。治療薬の選択肢が増え、毎年のように診療ガイドラインが改定されるようになっていますが、常に最新の医療を提供できるように準備をしています。

呼吸器内科、呼吸器外科、放射線科、病理部による合同カンファレンスの様子

呼吸器感染症

肺炎・結核・非結核性抗酸菌症・膿胸を始めとするあらゆる呼吸器感染症の診療を行っています。

間質性肺炎

間質性肺炎にはさまざまなタイプがあり、急に症状が進行するものもあれば、数年かけて少しずつ肺が悪くなってくるものもあります。

間質性肺炎の原因には以下(表)のようなものがありますが、その特定はとても難しく、いまだ間質性肺炎の半数以上が原因不明にとどまっているのが現状です。しかし原因によって使う薬が替わることがありますし、またアレルギーや薬剤による間質性肺炎であれば原因を除去することが重要になりますので、原因特定は非常に大事です。当院では、問診や身体診察をしっかり行い、さらに血液や胸部CTなどの検査やリウマチ膠原病科の先生との相談などを組み合わせ、できるかぎり正確な原因を特定するようにしています。原因特定や最適なお薬の選定のために、肺の組織検査が有用になる場合もあります。じゅうぶんな組織をとるために従来は手術が必要になることもありましたが、クライオ生検という方法を導入して、内視鏡での検査が可能になりました。

(表)間質性肺炎の原因
  • 関節リウマチや強皮症などの膠原病によるもの(膠原病肺)
  • 金属やアスベストなどの粉塵の吸入によるもの(じん肺・石綿肺)
  • 鳥の糞や羽毛、家庭内のカビなどの吸入とアレルギー反応によるもの(過敏性肺炎)
  • 薬剤によるもの(薬剤性肺炎)
  • 原因不明のもの(特発性間質性肺炎)

気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患

気管支喘息は、主にアレルギーが原因で気管支粘膜がむくんだりちぢんだりすることにより、息がしづらくなる病気です。吸入ステロイドなどを適切に使って、発作を起こさないように管理することが大事です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、主に喫煙が原因で肺が破壊され気道が狭くなり、息切れや痰が出る病気です。「肺気腫」と呼ばれることもあります。こちらは気管支拡張作用をもつ吸入薬が治療の主体となります。

喘息とCOPDは区別や合併が問題になります。当院では、問診、胸部CT、肺機能検査、吸入改善試験、FeNOなどによりそれぞれの正確な評価を行うようにしています。難治性の気管支喘息患者さんには、近年開発された生物学的製剤と呼ばれるお薬を使った治療を行っています。どちらの病気も、患者さん自身がご自分の病気や治療について正しく理解して自己管理することが重要ですので、吸入指導や、生活指導にも力を入れております。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に呼吸が弱くなったり止まったりしてしまうことにより、深い睡眠がさまたげられ日中に眠気を生じる病気です。眠気だけではなく、「夜中にトイレで何度も目が覚める」といった症状の方もいます。また、睡眠中の低酸素や睡眠の分断は、高血圧やそのほかの心臓血管系の病気につながる可能性もあると言われています。

当院では睡眠時無呼吸症候群の専門外来を設置し、診断から治療までを行っています。診断のときは、眠っている間の呼吸状態を調べる検査をおこないます。自宅でできる検査もありますが、より精密に調べる場合には一晩入院していただき、ポリソムノグラフィー(PSG)という検査を行います。治療には、マウスピース治療やシーパップ(CPAP)療法などがあります。検査結果を踏まえて患者さんと相談し、最適な治療を選択できるようにしています。

治療を開始して安定した患者さんは、かかりつけの診療所に逆紹介して、そのあとの治療を継続するようにお願いしています。

スタッフのご紹介

  • 役職
  • 氏名
  • 専門医・認定医等情報
  • 専門領域
  • 部 長
  • 大場 岳彦
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医

    日本呼吸器学会専門医・指導医

    インフェクションコントロールドクター(ICD)

    東京都西多摩保健所大気汚染障害者認定審査会委員長

    東京都西多摩保健所感染症の診査に関する協議会委員

    東京医科歯科大学医学部臨床教授

    医学博士

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 呼吸器全般
  • 副部長
  • 本田 樹里
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医

    日本呼吸器学会専門医・指導医

    日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医

    日本結核非結核性抗酸菌症学会結核抗酸菌症認定医

    日本がん治療認定医機構がん治療認定医

    肺がんCT検診認定医

    日本旅行医学会認定医

    日本医師会認定産業医

    東京医科歯科大学医学部臨床教授

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 呼吸器全般
  • 医 長
  • 日下 祐
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医

    日本呼吸器学会専門医・指導医

    日本結核非結核性抗酸菌症学会結核抗酸菌症認定医

    医学博士

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 呼吸器全般
  • 医 長
  • 伊藤 達哉
  • 日本内科学会総合内科専門医

    日本内科学会認定内科医

    インフェクションコントロールドクター(ICD)

    日本呼吸器学会会員

    日本環境感染学会会員

    日本集中治療学会会員

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 呼吸器全般
  • 医 長
  • 大友 悠太郎
  • 日本内科学会内科専門医

    日本呼吸器学会会員

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 呼吸器全般
  • 医 員
  • 甲斐 文彬
  • 日本内科学会会員

    日本呼吸器学会会員

  • 呼吸器全般
  • 医 員
  • 大井田 毅
  • がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 医 員(非常勤)
  • 磯貝 進
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医

    日本呼吸器学会指導医・専門医

    日本アレルギー学会専門医

    医学博士

  • 呼吸器全般
  • 医 員(非常勤)
  • 高野 省吾
  • 日本内科学会認定内科医

    日本医師会認定産業医

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 呼吸器全般
  • 医 員(非常勤)
  • 須原 宏造
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医

    日本呼吸器学会専門医・指導医

    日本アレルギー学会専門医

    医学博士

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 呼吸器全般
  • 役職
  • 部 長
  • 氏名
  • 大場 岳彦
  • 専門医・認定医等情報
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医

    日本呼吸器学会専門医・指導医

    インフェクションコントロールドクター(ICD)

    東京都西多摩保健所大気汚染障害者認定審査会委員長

    東京都西多摩保健所感染症の診査に関する協議会委員

    東京医科歯科大学医学部臨床教授

    医学博士

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 専門領域
  • 呼吸器全般
  • 役職
  • 副部長
  • 氏名
  • 本田 樹里
  • 専門医・認定医等情報
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医

    日本呼吸器学会専門医・指導医

    日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医

    日本結核非結核性抗酸菌症学会結核抗酸菌症認定医

    日本がん治療認定医機構がん治療認定医

    肺がんCT検診認定医

    日本旅行医学会認定医

    日本医師会認定産業医

    東京医科歯科大学医学部臨床准教授

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 専門領域
  • 呼吸器全般
  • 役職
  • 医 長
  • 氏名
  • 日下 祐
  • 専門医・認定医等情報
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医

    日本呼吸器学会専門医・指導医

    日本結核非結核性抗酸菌症学会結核抗酸菌症認定医

    医学博士

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 専門領域
  • 呼吸器全般
  • 役職
  • 医 長
  • 氏名
  • 伊藤 達哉
  • 専門医・認定医等情報
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医

    インフェクションコントロールドクター(ICD)

    日本呼吸器学会会員

    日本環境感染学会会員

    日本集中治療学会会員

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 専門領域
  • 呼吸器全般
  • 役職
  • 医 長
  • 氏名
  • 大友 悠太郎
  • 専門医・認定医等情報
  • 日本内科学会内科専門医

    日本呼吸器学会会員

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 専門領域
  • 呼吸器全般
  • 役職
  • 医 員
  • 氏名
  • 甲斐 文彬
  • 専門医・認定医等情報
  • 日本内科学会会員

    日本呼吸器学会会員

  • 専門領域
  • 呼吸器全般
  • 役職
  • 医 員
  • 氏名
  • 大井田 毅
  • 専門医・認定医等情報
  • がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 専門領域
  • 役職
  • 医 員(非常勤)
  • 氏名
  • 磯貝 進
  • 専門医・認定医等情報
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医

    日本呼吸器学会指導医・専門医

    日本アレルギー学会専門医

    医学博士

  • 専門領域
  • 呼吸器全般
  • 役職
  • 医 員(非常勤)
  • 氏名
  • 高野 省吾
  • 専門医・認定医等情報
  • 日本内科学会認定内科医

    日本医師会認定産業医

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 専門領域
  • 呼吸器全般
  • 役職
  • 医 員(非常勤)
  • 氏名
  • 須原 宏造
  • 専門医・認定医等情報
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医

    日本呼吸器学会専門医・指導医

    日本アレルギー学会専門医

    医学博士

    がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了

  • 専門領域
  • 呼吸器全般

可能な検査・治療

検査
  • FeNO
  • モストグラフ
  • 気管支内視鏡検査(蛍光内視鏡、EBUS-TBNA、EBUS-GS、クライオ生検)
  • CTガイド下生検は放射線科に依頼
  • 胸腔穿刺検査
  • ポリソムノグラフィー検査
治療
  • 人工呼吸器(IPPV、NPPV)やネーザルハイフローによる呼吸管理
  • 肺がんや悪性胸膜中皮腫に対する、薬物治療(細胞障害性抗がん剤、免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬)、放射線治療(放射線科に依頼)、外科的治療(呼吸器外科に依頼)
  • 気胸や胸水や膿胸に対するドレナージ治療
  • 手術不可能な難治性気胸に対する気管支充填術
  • 気道異物に対する気管支鏡治療
  • 睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP治療
気管支内視鏡検査 気管支内視鏡検査
クライオ生検

2017年に薬事承認を受けた新しい検査手技です。従来の鉗子を用いた生検よりも大きな組織検体をとることができ、診断に有用とされます。
その一方、出血や気胸などの合併症の危険が上がるとされています。当院では2021年11月より導入しています。
既報告と比して同程度安全に施行しており、間質性肺炎の診断に用いています。

気管支内視鏡検査 クライオ生検で採取した肺組織

初期研修終了後の研修

当院は西多摩地区の基幹病院であり、豊富な症例を経験し、さまざまな呼吸管理・呼吸器関連処置(下表参照)をおこなうことができます。 呼吸器外科・放射線科・病理などとの連携も密であり、肺癌や気胸や膿胸などの診断治療において、他科との連携を要するような場合でもシームレスに診療を完結できる体制が整っています。

当院は日本呼吸器学会呼吸器専門医の取得のための研修をおこなうことができる施設です。当院を基幹施設とした研修プログラムでは、東京医科歯科大学、国立病院機構災害医療センター、武蔵野赤十字病院、新渡戸記念中野総合病院、練馬光が丘病院、横浜市立みなと赤十字病院、平塚共済病院、山梨県立中央病院、都立多摩南部地域病院、公立阿伎留医療センターと連携して研修プログラムを組んでいます。初期研修・内科専門研修を終了後に呼吸器専門医を目指す方は、まずはぜひ見学にいらしてください。

呼吸器内科でおこなった主な処置の件数

2023年度 2024年度
人工呼吸器(IPPV) 9 19
人工呼吸器(NPPV) 14 17
ネーザルハイフロー 35 55
気管支内視鏡 262 313
胸腔ドレナージ 107 115
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